会長挨拶
第40回日本臨床栄養学会総会
会長 大荷 満生
杏林大学医学部 高齢医学
第40回日本臨床栄養学会総会 会長

この度、第40回日本臨床栄養学会総会を、2018年10月5日(金)~10月7日(日)の3日間、虎ノ門ヒルズフォーラム(東京)で開催させていただくことになりました。本総会は、第39回日本臨床栄養協会総会と合同で「第16回大連合大会」として開催させていただきます。

2018年は、日本臨床栄養学会創立以来ちょうど40年の節目の年に当たります。そこで、学会創立の精神である「人間栄養学」を新たに自覚することを目指し、総会のメインテーマを「人体栄養の新時代をひらく」と定め、その基本方針のもとに総会のプログラムを組み立ててまいりました。

わが国の栄養学は、ビタミン欠乏症から出発し、その面では先輩方が輝かしい業績をあげられ、主として欠乏症の栄養に対する食品の開発を中心とした食品栄養学として発展してきました。その発展の仕方は、反面、わが国の栄養学のあり方を根本的に制約もしました。本総会では、臨床栄養学を本来の人体の栄養代謝を中心とした人体栄養学へ学問の方向をシフトすべく微力を尽くす所存です。

最近の高齢化社会では、高齢者の自立と栄養の関係を明らかにすることが求められています。高齢者は低栄養になると筋肉組織を失い(サルコぺニア)自立低下の基になりますが、その回復、維持には栄養を改善しただけでは効果があがらないという難問にぶつかり、新たな接近法が必要とされています。

こうした状況下で、従来の病態別栄養学ではなく、ひとりの人間丸ごとの栄養について学ぶことは極めて重要な示唆を与えてくれるものと思われます。

本総会では、これまで先輩方が積み上げてこられたこの学会の「歩み」を振り返るとともに、わが国における臨床栄養学のあり方や将来に向けてどのような方向に進むべきか積極的な議論もおこないたいと考えております。また、医師や栄養学を専門とする研究者だけでなく、栄養士(管理栄養士)、保健師、看護師、薬剤師等の方々にも臨床栄養学に関する最新の情報を提供できるようなプログラムも企画しました。「人体栄養の新時代をひらく」というメインテーマに沿って企画しましたので、教育講演やシンポジウム、パネルディスカッション等の内容は、従来の総会とは大きく異なりますが、参加していただいた方々には大変有益となる内容であると確信しています。

多くの方々にご参集いただき、熱心な研究発表や意見交換がなされることを期待しております。

第39回日本臨床栄養協会総会
会長 大澤 繁男
一般社団法人日本臨床栄養協会 常務理事(元鎌倉女子大学教授)
第39回日本臨床栄養協会総会 会長

この度、第39回日本臨床栄養協会総会を、2018年10月5日(金)~7日(日)の3日間、東京の虎ノ門ヒルズフォーラムを会場に開催する運びとなりました。本総会は、第16回大連合大会の一環として、第40回日本臨床栄養学会と合同での開催となります。関係の皆様の総力を結集し、盛会となるよう取り組んでまいります。

さて、従来栄養学は、栄養素の概念から捉えられていましたが、歴史的変遷を経て、人体側面から多角的に栄養の問題が捉えられるようになり、人間栄養学の概念へと発展してきました。そこで私達は、これを更に推し進め未来に向けて広く発信するため、本大会のメインテーマを「人体栄養の新時代をひらく」としました。

人間栄養学においては、食物の栄養素を単に栄養成分として捉えるだけではなく、消化・吸収や代謝等を含めた体内での変化の過程を認識することが重要となります。また、栄養量や治療効果は調理法や食べ方によっても異なり、変化します。そこで、人間栄養学では栄養素が体内で、健康の保持・増進や病気の予防・治療にどの様に作用し、どの様な効果があるのか、ということを総合的にみていく必要があり、本総会でもさらに追及していきたいと考えます。

我が国における健康・栄養対策は、その時代の社会情勢、経済状況、食糧事情等によって変化し、時代的な背景が反映されています。戦後間もなくは、食糧事情がさほど良くなかったため、欠乏症の予防に焦点があてられていました。その後、高度経済成長と共に食糧事情も良好となり、食生活の欧米化に伴い過栄養による生活習慣病が増加するなど社会状況に応じて疾病構造も変化してきました。さらに、過栄養への対策のみならず、低栄養によるサルコペニアやフレイルの問題が浮上してきました。そのため現在は単に平均寿命を伸ばすことだけにとどまらず、要介護の予防を視野に入れた健康寿命の延伸が重要な課題となっています。この超高齢社会に於ける取り組みを推進するためには、専門的知識や具体的な技術の構築と共に、医療の専門職種間のなお一層の連携が不可欠です。臨床栄養協会の設立理念は「医師と栄養士が手を結べば何ができるか」です。医師、栄養士のみならず、メディカルスタッフが多職種協働で連携することで、効率的且つ効果的な医療の提供が可能となり、患者のQOLが向上することは周知の事実です。各医療スタッフが横断的に意見交換をしあい、エビデンスに基づく最新の情報収集や今後の研究テーマへの取り組みに向けて、本学術総会がその発信のための一助となれば幸いです。

臨床栄養学の更なる発展のため、会員の皆様をはじめ、是非多くの皆様の参加をお待ち申し上げております。